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畳職人-中野正行

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今回は畳のレポートです
これまた日田在住の畳協会の会長さんでもあります中野正行さんのところにお邪魔させていただきました
六本木ヒルズにまで納品に行くほどの方です

中野正行さんいわくイグサには集中力を高める効果もあるそうですよ〜

それでは『たたみ』の語源からまいりましょうか
畳は「たたむ」ことを意味し
折り返して重ねる・たためる・重ねるものから、敷物すべてを意味したもので、これが畳の起こりだと言われています

平安時代には畳は寝床として利用されていたそうですね
正倉院には聖武天皇の「御床」と言う物が存在していたそうですもん

畳の呼び方で本間(ほんま)や江戸間なんて聞いたこと無いですか?
こんなにも違うんですよ!

関西間=京間=本間
1間(けん)=六尺五寸なので
長手が六尺三寸(1909mm)で1.985平方メートル

関東間=江戸間=五八間=田舎間
1間(けん)=六尺なので
長手が五尺八寸(1757mm)で1.682平方メートル

関東間で畳を10枚敷いた10畳の部屋の広さは
関西間の8.47畳分の広さに相当します
逆に
関西間で畳を10枚敷いた10畳の部屋の広さは
関東間の11.8畳分の広さに相当します


実は畳の敷き方があるのはご存知でしょうか?

婚礼のときに床の間の前に平行に敷いてから
畳の合わせ目がTの字になる敷き方を
吉の敷き方と呼びます
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吉があるので凶の敷き方もあります
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葬儀のときに敷く敷き方で畳の四隅が合わさって十字になる敷き方です
大広間や寺院でも用いられている敷き方で「いも」継ぎとも言われます

今では畳の部屋なんてほんの少しあれば良い方になってきましたね
茶室などでは欠かせない畳ですが
私の住んでいる大分県は畳表(たたみおもて)に使われる『七島藺』
(しちとうい-大分の方言では、しっとういと発音します)
の生産が行われている唯一の県なんですよね

『七島藺』ってなに?
通常の藺草の断面は円ですが、この七島藺の断面は三角形なんです。
しかも藺草より丈夫なので商家や柔道用にも利用されていたんですね。

江戸時代のはじめに橋本五郎右衛門が琉球(トカラ列島=『七島』)から持ち込んだとされております

畳表の材料となる藺草は借り入れると、すぐに天然泥で泥染されます
これは色や香りを出すために行われますが
この他に青さを長続きさせるために酸化銅の緑青(ろくしょう)を混合した物を塗布している物もあります

現在では縁なしの正方形で目の小さな 目積表(めせきおもて)は琉球畳(りゅうきゅうたたみ)などと呼ばれていますね〜
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目積表でも芯に入っている糸が麻や綿などグレードが違ってきます
もちろん麻の方が高級表です
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一般的にはもう少し目の大きな諸目表(もろめおもて)=普通表と言われている物が主流ですが、こちらもシングル綿・ダブル綿・綿麻・麻と言う具合にいろんな芯材のグレードがあります
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それでは畳の中身のお話を少々
本来は藁(わら)で出来ています
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下から順番に裏菰(うらこも)・菰配(こもばえ)・下配(したばえ)・銅配(どうばえ)・縦配(たてばえ)・横配(よこばえ)・肌菰(はだこも)で出来ており繊維を縦横交互に重ねて糸でぎゅぅ〜〜っと締めて作られたものを藁床(わらどこ)と呼んでいます
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この他、中にウレタンが入った半藁床
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や合板で作られたダイケン床
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などがあります

最近では裏菰の下に防虫シートを付けたものもありますが
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本来はシュロ菰で仕上げられていました
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いよいよ作り方です
畳表は短い方の頭を縫ってから
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長て方向に縁(ふち)を縫い付けていきます
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この縁にも麻製な物から化学繊維物までいろいろあります
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今でこそ機械で縫って行きますが昔は手で一本一本縫っていたんですから大変だったでしょうね〜〜

普段は畳の表面しか見えていませんが
日本建築の奥の深さを思い知らされる貴重な伝統品の一つですね!

畳には
吸湿性
放湿性
断熱性
自己消火性
難燃性
互換性などの効果があるとされています

昔から私たちの日本で暮らすために作り出された機能的な床材です
これからも大切にしていきたいですね

できれば一年に一度は天気のいい日に
外で干してあげてください

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by mac-hitani | 2008-07-01 13:56 | 名工 | Trackback | Comments(0)

1970/07/29意匠職人 町谷一成 土に還る住宅を目指して地産地消のご住宅を中心に設計させて頂いております。


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